こんにちは、タカリです。
今回は「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」のラスボスを務める「ミルドラース」を本気で研究していきます。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
ミルドラースとは「魔界」の総本山であり、本作のラストダンジョン「エビルマウンテン」に居を構える自称「魔界の王」にして「王の中の王」。
「ラスボス」「魔界の王」「王の中の王」と、うっかり権威バイアスに引っ張られそうな立派な肩書ですが、実は歴代ラスボスの中でもトップクラスに知名度が低く、DQファンの間では「影が薄すぎるラスボス」として逆に有名になっているなど、不遇な扱いが現在も進行中。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
今回の記事では、
これらについて、本気で研究しているので、最後までお付き合い頂けると幸いです。
魔界の王にして 王の中の王「ミルドラース」
ミルドラースとは?
「ミルドラース」とは「魔界」の総本山であり、DQ5のラストダンジョン「エビルマウンテン」に居を構える自称「魔界の王」にして「王の中の王」たる存在。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
英語版での名称は「Grandmaster Nimzo」(グランドマスター ニムゾ)。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
由来はおそらく、リガ出身のチェスプレイヤー「アロン・ニムゾヴィッチ」が考案したチェスのオープニング(定跡)「ニムゾ・インディアン・ディフェンス」です。
チェスと言えば、リメイク版で追加された「名産品」の中に「モンスターチェス」がありますね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
「Grandmaster」(グランドマスター)とは、国際チェス連盟(FIDE)により付与されるチェスのタイトルで、「世界チャンピオン」を別にすればチェス選手の最高位のタイトルなので、もしかするとミルドラースはチェスの名手?
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
ミルドラースは全ての元凶でありながら、歴代ラスボスの中でもトップラクラスに知名度が低く、DQファンの間では「影が薄すぎるラスボス」として逆に有名になるなど、散々な扱いは現在も進行形。
ここまで影が薄くなった要因としては「登場の遅さ」「ゲマ」「ブオーン」が、主に挙げられることが多いと思います。
↓はブオーン、ゲマに存在を圧縮されるミルドラースの構図。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
登場が遅すぎる
「ミルドラース」の名前が本編で登場するのは「イブール」撃破後という終盤ですし、「世界に平和を取り戻す」というより「主人公の半生を追う」側面が強いDQ5のストーリー上、どうしても印象が薄くなってしまうのは否めません。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
一応リメイク版だと幼年時代の「レヌール城」という、SFC版からすればかなり早い段階でミルドラースの名前が登場しますが、逆に早すぎるし、これからストーリーにはほとんど関わらないのでカンフル剤としてはちょっと弱いです。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
トラウマ製造機「ブオーン」
青年時代後半で戦うことになる「ブオーン」は、山のような巨体と登場演出のインパクト&桁違いの強さで数多のプレイヤーにトラウマを植えつけたことも、「ミルドラース」の影を薄くしている大きな要因。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
DQ5屈指のトラウマ製造機ブオーンについては、「【ドラクエ5】ブオーンを本気で研究しました」の記事にて本気で研究しているのでぜひぜひ。
外の道を極めた「ゲマ」
3世代続く家族をテーマにするDQ5では、主人公とその家族たちの運命を大きく狂わせたミルドラース直属の部下「ゲマ」の存在は、やはり巨大すぎますよね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
↓は主人公の目の前で父「パパス」を灰燼としておきながらこの煽り、まさに外道。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
これには慈愛と純真を併せ持つ「女の子」も流石にブチギレ。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
リメイク版で追加された「会話システム」によって、双子のお兄ちゃん大好きブラコン妹へと華麗に覚醒した「女の子」については、「【ドラクエ5】タバサを本気で研究しました!【女の子】」の記事にて本気で書いていますので、ぜひご覧ください。
最近は、イラッとすることがめっきり減りました。
でも、ゲマは例外なので、息子にギガデインをぶっ放してもらいます。
天空の雷振り下ろされる瞬間
悪意の花散る刹那
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
人間から魔界の王へ成り上がり
リメイク版の「ミルドラース」には、元々は人間で神になろうとしたけど、心の邪悪さゆえに魔物になってしまったという設定が追加されました。
この想像より遥かに闇が深そうなエピソードは、「ジャハンナ」に住んでいる「アンクルホーン」から聞くことができます。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
つまりミルドラースは、人間という立場から魔界の王にまで成り上がったんですね。(もう影が薄いとは言わせない)
さらに、ジャハンナの名産品「きんだんのまきもの」を見るに、「進化の秘法」を使って魔物へと進化した可能性が高いです。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
「進化の秘法」とは、「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」に初登場した秘法のことで、遥か昔に地獄の帝王「エスターク」が創造しました。
出典:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
地獄の帝王であり、裏ボスの帝王でもある「エスターク」については「【ドラクエ】地獄の帝王エスタークを本気で研究しました。」の記事にて本気で研究しているので、ぜひご覧ください。
余談ですが、「ラインハット」では「デズモン」という学者が進化の秘宝を研究しています。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
英語版のデズモンの名前は「Darwin」で、おそらく「ダーウィンが来た!」「進化論提唱」でおなじみの「チャールズ・ロバート・ダーウィン」(1809年2月12日 – 1882年4月19日)が由来でしょうね。
なお、青年時代後半になると「おうじゃのマント」の話に変わるので注意。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
鳥山明先生が当初デザインしたのはDQ6の◯ー◯◯
「ミルドラース」には第一形態と第二形態が存在しますよね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
第二形態に注目してください。
DQ6に登場する「ムドー」に似ていると思いませんか?
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地
比較するとよく分かりますが、第二形態がそのまま小ぶりになった感じ。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 ドラゴンクエストV 天空の花嫁
このデザインの類似性から、ミルドラース第一形態の没キャラはムドーではないか?と考察されていました。
公式からは特に明言はされなかったので、DQファンは長年もやもやしていましたが、2016年5月27日に発売された神画集「鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ」にて、遂に公式からの回答がありました。
その内容は、「ブースカは元々DQ5当時に、ミルドラース第一形態の予定でデザインされたが没になった」「ブースカの色変えがムドー」というもの。
「ブースカ」とはDQ6に初登場するモンスターで、ムドーの色違い。
いわゆる雑魚敵ですが、イオナズンやこごえるふぶきを連発し、ベホマスライムを呼んで回復を図ったりと普通に強い。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地
つまり鳥山明先生は、元々ブースカ(ムドー)をミルドラース第一形態としてデザインしたので、第二形態に酷似しているのは自明の理だったんですね。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 ドラゴンクエストV 天空の花嫁
しかも、ブースカの色変えがムドーになったので、実は雑魚敵であるブースカのほうがオリジナルだったという事実もなかなか面白いですよね。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地
リメイク版で大きく変化した前口上
この章では、「ミルドラース」の前口上を本気で研究します。
前口上とは「実演・実技などの始まる前に述べる口上。また、本題に入る前に述べる言葉。」
要は前置きの言葉ですね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
DQシリーズ歴代ラスボスの前口上は、どれも自らの主義、主張や美学などを推し量ることができ、主人公たちとはまた違った“正義”も在ると気づける秀逸なものばかり。
出典:ドラゴンクエスト
出典:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
特に、ゾーマの前口上はドラクエの生みの親である堀井雄二さんもお気に入りらしく、ドラゴンクエスト30周年記念プロジェクトの一環で出版された書籍「ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! (原著 堀井雄二)」内にて、詳しく解説をしてくださっています。
出典:ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! P47 /原著 堀井雄二
「ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! (原著 堀井雄二)」には歴代ドラクエの名言についての情報も盛り沢山ですし、「ゆう坊のでたとこませ」(1990年4月19日に発行)に掲載された「堀井雄二のゲームデザイナー入門」という超貴重な堀井さんのインタビュー記事も、なんと丸々載っています。
出典:ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! P132/原著 堀井雄二
堀井さんが「はじめに」でも仰っている通り、プログラムなどの情報は流石に古くなっていますが、堀井さんのゲーム作りに対する想いは普遍で不変だと分かりますし、人生を生きて往くヒントがそこここに積もっているので、何か行き詰まっている人は必読中の必読。
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話を戻します。
歴代ラスボスの前口上は、リメイクや外伝作品で平仮名から漢字への小さな変更はありましたが、基本的にほとんど変わっていません。
しかし、ミルドラースの前口上はSFC版→リメイク版で、大きな変化が起きていることはご存知でしょうか。
<SFC版>
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
*「ついに ここまで 来たか
伝説の勇者と
その一族の者たちよ。
*「私が だれで あるか
そなたたちには すでに
わかっておろう。
*「魔界の王にして 王の中の王
ミルドラースとは 私のことだ。
*「気の遠くなるような
長い年月を経て
私の存在は すでに神をもこえた。
*「もはや 神の封印をとくのに
エルヘブンの民の力など
いらぬわ。
*「さあ 来るがよい。
私が 魔界の王たる所以を
みせてやろう。
<リメイク版>
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
ついに ここまで 来たか
伝説の勇者と
その一族の者たちよ。
私が だれで あるか
そなたたちには すでに
分かっておろう。
魔界の王にして 王の中の王
ミルドラースは 私のことだ。
気の遠くなるような
長い年月を経て
私の存在は すでに神をもこえた。
もはや 世界は 私の手の中にある。
私のしもべたちが あれこれと
はたらいていたようだが……
あのようなことは そもそも
必要のない くだらない努力
にすぎなかったのだ。
なぜなら 私は 運命にえらばれた者。
勇者も 神をも こえる存在
だったのだからな…。
さあ 来るがよい。
私が 魔界の王たる所以を
見せてやろう。
SFC版の赤字のセリフが全てカットされ、新たに青字のセリフが追加されているのが分かると思います。
赤字のセリフ解説
カットされた赤字のセリフ「もはや 神の封印をとくのに エルヘブンの民の力などいらぬわ。」について解説しますね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
- ミルドラースは悪いことばかりしたので、神(マスタードラゴン)により魔界へ追放される
- マスタードラゴンは魔界と人間界を繋ぐ門に強い封印を施し、エルヘブンの民に門番を命じる
- 主人公の母親「マーサ」は、エルヘブンの民としての力を強く受け継いでいたので、その力を利用し魔界と人間界を繋ぐ門を開かせるため、主人公を産んだ後すぐに魔界へ連れ去られる
- 長い年月を経て神をも越えちゃったので、もうエルヘブンの民(マーサ)などいらぬわ!
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
青字のセリフ解説
追加された青字のセリフを解説します。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
もはや 世界は 私の手の中にある。
私のしもべたちが あれこれと
はたらいていたようだが……
あのようなことは そもそも
必要のない くだらない努力
にすぎなかったのだ。
なぜなら 私は 運命にえらばれた者。
勇者も 神をも こえる存在
だったのだからな…。
青字のセリフが新たに追加されたことによって、ミルドラースの選民意識がより強調され、自称している「魔界の王」にして「王の中の王」に『スゴ味』が。
しかし、部下たちの働きを「必要のない くだらない努力」と、バッサリ切り捨てるワンマンな態度は、やはりどこか小物臭漂います。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
「◯◯◯◯よ! なにゆえ もがき いきるのか?」と、苦難を乗り越え向かってくる勇者一行を「個」、そして「敵」として認め迎え撃った大魔王「ゾーマ」のような余裕と品格があったなら、ミルドラースの株は上がったに違いありません。
出典:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
ゾーマについては、「【ドラクエ3】大魔王ゾーマを本気で研究しました。」の記事にて本気で研究しています。
ドラクエからはそれますが、「HUNTER×HUNTER」に登場するキメラアントの王「メルエム」のように、散って逝った部下たちを敬うようなニュアンスを、少し口上に込めてもよかったのかもしれませんね。
出典:HUNTER×HUNTER 冨樫義博
まとめ
最後に、自称「魔界の王」にして「王の中の王」である「ミルドラース」をまとめて終わります。
- 「ミルドラース」とは、自称「魔界の王」にして「王の中の王」たる存在
- 英語版での名称は、「Grandmaster Nimzo」(グランドマスター ニムゾ)
- 「影が薄すぎるラスボス」として逆に有名になっている
- 影が薄い主な要因は、「登場の遅さ」「ゲマ」「ブオーン」
- リメイク版では「人間から魔界の王へと成り上がった」という設定が追加された
- 鳥山明先生が、ミルドラース第一形態として当初デザインしたのは、DQ6に初登場する「ブースカ」
- ミルドラースの前口上は、実はリメイク版で大きく変わっている
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