ドラクエ作品

【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part1】

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タカリ

こんにちは、タカリです♪

今回はドラゴンクエストシリーズに登場する「ラストボス」、通称「ラスボス」の前口上について本気で研究していきます。

前口上とは「実演・実技などの始まる前に述べる口上。また、本題に入る前に述べる言葉。」

要は前置きの言葉ですね。

例えば、TVアニメ「ONE PIECE」の前口上は有名だと思います。

富!名声!力!

この世の全てを手に入れた男 、『海賊王』ゴールド・ロジャー

彼の死に際に放った一言は人々を海へ駆り立てた―

『おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる、探せ!この世の全てをそこに置いてきた!』

男達は”偉大なる航路(グランドライン)”を目指し夢を追い続ける

世はまさに大海賊時代!

前口上(前置き)は長すぎたらダレるし、短すぎても入り込めないので実は非常に難しく重要な役割なんです。

その観点から言えば上記したTVアニメ「ONE PIECE」の前口上は完璧ではないでしょうか。

勇者一行との最終決戦前に発するラスボスたちの言葉からは自らの主義主張や美学などを推し量ることができ、勇者とはまた違った”正義”も在ると気づくはず。

今回の「【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part1】」では独断と偏見でDQ1「竜王」、DQ3「ゾーマ」、DQ5「ミルドラース」の前口上を徹底的に研究して往きます。

それではどうぞ♪

【竜王】せかいの はんぶんを ◯◯◯ に やろう。【DQ1】

この章では「竜王」の前口上を研究していきます。

その前にざっくりと竜王についてご紹介しますね。

竜王は記念すべき初代ドラゴンクエストのラスボスということもあり外伝作品への主演も多く、高い人気と知名度を誇ります。

紫のローブを着て杖を携えペンダントをかけた魔導師風ですが、その正体は巨大な竜であり、その爪は鉄を引き裂き、吐き出す炎は岩をも溶かす正に竜の王。

ところで、「ドラゴンクエスト ファンタジア・ビデオ」という1988年12月21日に発売されたオリジナルビデオ作品をご存知でしょうか。

ドラクエの世界観を実写映像でセリフのないサイレントドラマとして表現した作品で、当時のガイナックス社長岡田斗司夫さんにより企画プロデュースされました。

実はこの作品に登場する竜王を演じられたのは「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」「シン・ゴジラ」などで知られる庵野秀明監督。

故にDQファンからは「シン・ドラゴンクエスト」と呼ばれたりもしています。

↓が竜王の登場シーンですが、特殊メイクで庵野さんとは全く分かりません。

でも、庵野さんは身長が高くスタイルも良いので様になっていますね。

勇者との戦いの際に火を吐きますが、これはCGではなくガソリンを燃料とする工業用火炎放射器によるものです。(別の意味で恐い)

そして、エフェクトのアニメーション演出は竜王役の庵野秀明監督と貞本義行さんが担当されています。(豪華すぎて恐い)

話を戻します。

それでは初代ドラゴンクエストのラスボスである竜王が勇者との最終決戦前に言い放つセリフ、つまり前口上をご紹介しますね。

全文は以下の通りです。

「よくきた ◯◯◯◯よ。 わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。
「わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを…
「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを ◯◯◯◯に やろう。
「どうじゃ? わしの みかたに なるか?(はい/いいえ)

いいえ

「おろかものめ!おもいしるがいい!」→戦闘
 
はい
「ほんとうだな?(はい/いいえ)
 
はい
「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして…
「そなたに ふっかつのじゅもんを おしえよう!
「***** *******
 ***** ***
 これを かきとめておくのだぞ。
「おまえの たびは おわった。
 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ

この前口上は竜王の代名詞と言っても過言ではなく、ドラクエシリーズの他作品はもちろん、直接的な関係のない外部作品などでも度々パロディネタにされているのでDQをプレイしたことがない人でも「世界の半分をやろう」のフレーズにピンとくる人も多いと思います。

「ドラゴンクエスト4コマ マンガ劇場」でも当然の如く滅茶苦茶ネタにされていますが、個人的にはやはり柴田亜美先生がナンバーワン。

↑はもちろん竜王なんですが、初めはバラモスと勘違いしたのは私だけでしょうか。

柴田先生が最近同じネタを短冊に描いていましたが竜王が修正されています。

これは柴田先生の話ではないですが、登場人物やアイテムなどの資料が制作進行の遅れで無かったり、変更されたりで作者の想像で書くことも少なくはなかったみたいな裏話を聞いたことがあるのでもしかしたら柴田先生は竜王の完成デザインを知らなかったかもしれませんね。

話を戻します。

「世界の半分をやろう。」と、かなり意をつかれるセリフですがこれは当然罠です。

うっかりこの甘言に乗ってしまうと、画面が暗転してメッセージ欄は赤く染まり、以降のプレイヤーの操作は一切受け付けなくなります。(こわい)

こうなってしまうとゲーム機本体の電源を切るかリセットボタンを押すしかありません。

そうです、初代ドラゴンクエストは明確なバッドエンディングがある唯一のナンバリング作品なんですね。

更に竜王から教えてもらった復活の呪文を入力すると「Lv1」かつ「所持金・所持品ゼロ」の状態で「最初からスタート」という踏んだり蹴ったり。

復活の呪文ではなく冒険の書が採用されているリメイク版では画面暗転後に場面がリムルダールの宿屋に変わり、「ゆうべは ずいぶんと うなされていたようですが…。」と女主人に言われます。

所謂「夢オチ」ですね。

ただし、竜王の城から直接帰還しただけの扱いなので回収したアイテム等は手元にちゃんとあるし、消費したアイテムもなくなっています。

ゲームオーバーにはならないので、FC版と比べるとインパクトは薄め。(てか、FC版がこわすぎる)

因みに「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」の真EDにおけるドラクエシリーズ名場面集の映像の中にこの竜王とのやり取りが登場しました。

映像中に表示された復活の呪文をDQ11のメインメニューで入力すると、DQ1のゲーム冒頭シーンをプレイでき、玉座の間から出ようとするとPlayStation Storeに移動しDQ1を無料ダウンロードする事ができました。

このサービスは残念ながら2018年1月28日で終了していて、DQ11の発売日が2017年7月29日なので半年間限定の特典でした。

私は発売日にDQ11を買って約2週間後にクリアしましたが、既にDQ1は持っていたのでDLはしていません。

みなさんはゲットできましたか?

【ゾーマ】さあ わが うでのなかで いきたえるがよい!【DQ3】

この章では「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」に登場する歴代魔王の中でもトップクラスの知名度と人気を誇る「ゾーマ」の前口上を研究していきます。

その前に少しだけゾーマをご紹介しますね。

ドラクエの黒幕といえば「魔王」というイメージが強いですが、「人型のまま」かつ「変身しない」ラスボスはゾーマが初です。

ゾーマは「アレフガルド」を完全制服した後「上の世界」侵攻の先駆けとして、バラモスを初めとする配下を送り込みました。

そして、勇者一行がバラモスを倒して「アリアハン王」に報告している最中に突然兵士たちを木っ端微塵にして次のセリフを言い放ちます。

*「どこからともなく
  ぶきみな こえが きこえる……。
*「わっはっは!
  わしは やみのせかいをしはいする
  
だいまおうゾーマ じゃ。
*「このわしがいるかぎり
  やがて この せかいも
  やみに とざされるであろう。
*「さあ くるしみ なやむがよい。
  そなたらの くるしみは
  わしの よろこびなのじゃ。
*「わっはっはっ……………。

赤字に注目してください。

ここはバラモスを打ち倒し達成感に満ちているプレイヤーを絶望の底に叩き落としたシーンとして非常に有名ですが、魔王の上に立つ「大魔王」という肩書がDQシリーズで初めて登場した瞬間でもあるんです。

しかし、前述したセリフはあくまで自称「大魔王」なので後述する最終決戦前の前口上と比較すると若干カリスマ性が薄れている気がします。

それもあってかSFC版などのリメイク版では唯一ここだけゾーマのセリフが以下のように大幅に変更されています。

*「わははははははっ!
  よろこびの ひと時に すこし
  おどろかせたようだな。
*「わが名は ゾーマ
  闇の世界を 支配する者。
ゾーマ「この わしがいる限り
   やがて この世界も
   闇に 閉ざされるで あろう。

ゾーマ「さあ 苦しみ 悩むがよい。
ゾーマ「そなたらの苦しみは
   わしの よろこび…。
ゾーマ「命ある者 すべてを
   わが 生けにえとし 絶望で
   世界を おおいつくしてやろう。
ゾーマ「わが名は ゾーマ。
   すべてを ほろぼす者。

ゾーマ「そなたらが わが生けにえと
   なる日を 楽しみに しておるぞ。

ゾーマ「わははははははっ……!

絶対に覚えて欲しかったのか2回も名乗っていたり、ちょっと長い気がしますが個人的にはこっちの方が好みです。

「大魔王」に限らず、肩書って自らわざわざ自称するものではなく周りが認めて初めて背負えると思うのでゾーマのカリスマを更に高めたナイス修正だと思いました。

と言ってもアレフガルドの住民たちはゾーマを「大魔王」として大いに認識しているので、自称する資格は十二分すぎるほどあります。

FC版の「だいまおう ゾーマじゃ。」「そなたらの くるしみは わしの よろこび なのじゃ。」と少し違和感を覚えた口調も修正されていますね。

おそらく↑は老人口調のニュアンスだと思いますが、アニメや時代劇などで貴族のお姫様がよく使ういわゆる「貴族言葉」も同じく語尾に「じゃ」が付くので脳内で補完するとゾーマが可愛く感じるのでオススメはしません。

ゾーマ「そなたらの くるしみは わしの よろこび なのじゃ!」

貴族言葉を使うDQキャラでは7に登場する現代「マーディラス」のお姫様「グレーテ」が良いキャラしてます。

長くなってしまいました、それではゾーマの前口上をご紹介します。

ゾーマ「◯◯◯◯よ!
  なにゆえ もがき いきるのか?
ゾーマ「ほろびこそ わが よろこび。
  しにゆくものこそ うつくしい。
ゾーマ「さあ わが うでのなかで
  いきたえるがよい! 
 

どうでしょう、長すぎず短すぎない非常に秀逸な言い回しの前口上からはどこを取っても大魔王としてのカリスマ性や美学はもちろん、品格すらも感じられますよね。

前述した通りゾーマはアレフガルドを完全制服しています。

その申し分ない実力と実績を併せ持つゾーマからすれば多く居る手下のひとりにすぎないバラモスを倒した程度の勇者など矮小な存在だと思いますが、語り始める前に「◯◯◯◯よ!」と苦難を乗り越え向かってくる勇者一行を「個」、そして「敵」として認め迎え撃つ姿勢は大魔王としての器の巨大さをプレイヤーに認識させました。

でわ、最後にこの大魔王ゾーマの人気を決定づけたと言ってもいい格調高き前口上を考えられた堀井雄二さんの解説をご紹介して結びとさせて頂きます。

【ミルドラース】魔界の王にして 王の中の王 ミルドラースとは私のことだ。【DQ5】

この章では「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」に登場するラスボス「ミルドラース」の前口上を研究していきます。

その前にざっくりとですが、ミルドラースをご紹介しますね。

ミルドラースは「魔界」の総本山「エビルマウンテン」に居を構える自称「魔界の王」にして「王の中の王」です。

英語版の名称は「Grandmaster Nimzo」(グランドマスター ニムゾ)なんですが、由来はおそらく「ニムゾ・インディアン・ディフェンス」というリガ出身のチェスプレイヤー、「アロン・ニムゾヴィッチ」が考案したチェスのオープニングと、国際チェス連盟(FIDE)により付与されるチェスのタイトル(称号)で、「世界チャンピオン」を別にすればチェス選手の最高位のタイトルである「Grandmaster」(グランドマスター)だと思われます。

ミルドラースはチェスの名手なのでしょうか。

チェスと言えばリメイク版で追加された「名産品」の中に「モンスターチェス」がありますね。

ミルドラースは全ての元凶でありながら、DQシリーズ歴代ラスボスの中でもトップクラスに知名度が低く「影が薄いラスボス」として逆に有名になっているなど散々な扱いを受けてきました。

影が薄くなってしまった要因は「登場の遅さ」「ゲマの巨大な存在感」が主に挙げられることが多いと思います。

ミルドラースの名前が出てくるのは「イブール」撃破後というかなりの終盤ですし、「世界に平和を取り戻す」というより「主人公の半生を追う」側面が強いDQ5のストーリーではどうしても印象が薄くなってしまうのは否めません。

あとはやはり、3世代続く家族をテーマにするDQ5で主人公とその家族たちの運命を大きく狂わせたミルドラース直属の部下「ゲマ」の存在感が巨大すぎるんですよね。

↓は主人公の目の前で父「パパス」を灰燼としておきながらこのキレッキレの煽り。

これには慈愛と純真を併せ持つ娘ちゃんも流石にブチギレ。

一応リメイク版だと幼年時代の「レヌール城」というSFC版からすればかなり早い段階でミルドラースの名前が登場しますが、こちらは皮肉にも早すぎて忘れられてしまうことが多いです。

同じくリメイク版では、元々は人間であり神になろうとしたが心の邪悪さゆえに魔物になってしまった設定が追加されました。

これは公式がミルドラースの設定と明言はしていないので100%ではないですが、「ジャハンナ」に居る「アンクルホーン」から聞ける話から考えると十中八九決まりだと思います。

更にジャハンナの名産品「きんだんのまきもの」を見るにDQ4で登場した「進化の秘法」を使って魔物へと進化した可能性が高いです。

因みにDQ4から数百年後の舞台がDQ5なんですが、「ラインハット」で進化の秘法を研究している「デズモン」という学者が居ます。

なお、青年時代後半になると「おうじゃのマント」の話に変わるので聞きたい人は注意。

長くなりましたが、それでは自称「魔界の王」にして「王の中の王」であるミルドラースの前口上をご紹介しますね。

<SFC版>

*「ついに ここまで 来たか
  伝説の勇者と
  その一族の者たちよ。
*「私が だれで あるか
  そなたたちには すでに
  わかっておろう。
*「魔界の王にして 王の中の王
  ミルドラースとは 私のことだ。
*「気の遠くなるような
   長い年月を経て
   私の存在は すでに神をもこえた。


*「もはや 神の封印をとくのに
  エルヘブンの民の力など
  いらぬわ。


*「さあ 来るがよい。

    私が 魔界の王たる所以を
  みせてやろう。

↑はSFC版の前口上なんですが、赤字にすぐピントときた人はDQ5のグランドマスターです。

DQシリーズ歴代ラスボス最終決戦前の前口上はリメイクや外伝作品で平仮名から漢字への小さい変更等はあったものの基本的に変わっていません。

でも実はミルドラースの前口上はリメイク版で結構変わっているのはご存知でしょうか。

<リメイク版>

ついに ここまで 来たか
伝説の勇者と
その一族の者たちよ。
私が だれで あるか
そなたたちには すでに
分かっておろう。
魔界の王にして 王の中の王
ミルドラースは 私のことだ。
気の遠くなるような
長い年月を経て
私の存在は すでに神をもこえた。


もはや 世界は 私の手の中にある。
私のしもべたちが あれこれと
はたらいていたようだが……
あのようなことは そもそも
必要のない くだらない努力
にすぎなかったのだ。
なぜなら 私は 運命にえらばれた者。
勇者も 神をも こえる存在
だったのだからな…。


さあ 来るがよい。
私が 魔界の王たる所以を
見せてやろう。

SFC版の赤字のセリフが全てカットされ、新たに青字のセリフが追加されているのが分かると思います。

赤字の「もはや 神の封印をとくのに エルヘブンの民の力などいらぬわ。」の意味をかなりざっくりと説明すると、ミルドラースは悪いことばかりしたので神(マスタードラゴン)により魔界へ追放→神(マスタードラゴン)は魔界と人間界を繋ぐ門に強い封印を施しエルヘブンの民に門番を命じる→主人公の母である「マーサ」はエルヘブンの民としての力を強く受け継いでいたので魔界と人間界を繋ぐ門を開かせるために主人公を産んだ後すぐに魔界へ連れ去られる→長い年月を経て神をも越えちゃったのでエルヘブンの民(マーサ)などいらぬわ!

こんな感じです。

青字のセリフが新たに追加されたことによってミルドラースの選民意識がより強調され、多少は自称している「王の中の王」っぽくなりましたが、部下たちの働きを「必要のない くだらない努力」とバッサリ切り捨てるワンマンな態度はやはりどこか小物臭が漂います。(それが狙いだとは思いますが)

語り始める前に「◯◯◯◯よ!」と苦難を乗り越え向かってくる勇者一行を「個」、そして「敵」として認め迎え撃った大魔王「ゾーマ」のような余裕と品格が感じられないんですよね。

例えば、「HUNTER×HUNTER」に登場するキメラアントの王「メルエム」のように散って逝った部下たちを敬うようなニュアンスを少し前口上に込めてもよかったのかもしれませんね。

タカリ

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