こんにちは、タカリです。
今回は「キメラのつばさ」を本気で研究していきますね。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 下巻(知識編) P135
キメラのつばさとは、ドラゴンクエストシリーズに登場する道具のひとつで、自分自身やその仲間たちを特定の地点まで即座に移動させることができる便利呪文「ルーラ」と同じ効果を持っています。
その歴史は古く、ナンバリング全作品はおろか多くの外伝作品にも登場しているので、DQファンからすれば「キメラのつばさ」という文字列だけで刹那に「ルーラ」やモンスターの「キメラ」をイメージするのは造作もないことですよね。
出典:「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 」「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」
でも、あなたは本当にキメラのつばさを理解しているでしょうか?
キメラのつばさが「雷に打たれて死んだキメラから採れる羽を加工したもの」という設定なのは割と有名です。
なので、貴重品かと思いきや比較的安価で世界各地の道具屋で売られていたり、そもそもキメラが登場しない作品にも普通に登場していたりと、少し考えるだけでも謎があふれ深まって往きますよね。
今回の記事では、そんな身近すぎるが故に実は理解していない「キメラのつばさ」を、特に面白いエピソードがある作品に絞って本気で研究し、徹底的に明らかにしているので最後までお付き合い頂けると幸いです。
それではどうぞ♪
ドラゴンクエスト
「キメラのつばさ」とは1986年(昭和61年)5月27日に発売された初代「ドラゴンクエスト」に初登場して以来、ナンバリング全作品皆勤という偉業を果たしているレジェンドなアイテム。
最新ナンバリングである「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」(以下、DQ12)にもまず間違いなく登場すると思われます。
DQ12といえば、スクエニが2024年4月30日にタイトル名を明言しないまま、一部のHD(コンシューマー機向け)ゲーム開発中止に伴う221億円の特別損失計上を発表したことで開発中止が心配されていました。
しかし、堀井雄二さんが「ドラクエの日」に自身のXで「心配をかけているドラクエ12ですが、実はさっきまで、その打ち合わせをしていました」とポストされたので、ドラクエファンは安堵しましたよね。
初代ドラゴンクエストにおけるキメラのつばさの効果は「ルーラ」と同じで、使用すると「ラダトームの城」のすぐ前に移動します。
飛び上がる演出はまだなく、ギュインギュインギュインの効果音とともに画面暗転するのもルーラと同じ。
出典:ドラゴンクエスト
本作では基本的に「復活の呪文」での中断・再会をすべてラダトームで行いますし、ルーラ習得がレベル13と遅いので使用頻度は高め。
「マイラ」と「メルキド」の道具屋で売られていますが、70Gと結構なお値段です。
出典:ドラゴンクエスト
因みにマイラには「ゆうてい」という戦士がいますが、その正体は堀井雄二さん。
出典:ドラゴンクエスト
堀井さんはDQ3までゲーム制作をしながら、同時進行で「ゆう帝」として週刊少年ジャンプのゲームレビュー・裏ワザ紹介コーナー「ファミコン神拳」の記事を書くという鬼のようなスケジュールでした。
出典:ファミコン神拳奥義大全書 ドラゴンクエスト3
そのコーナーの主要メンバーが「ゆう帝」(堀井雄二さん)、「ミヤ王」(宮岡寛さん)、「キム皇」(木村初さん)で、「ゆうてい」が捜している「キムこう」とは「キム皇」のことなんですね。
「キムこう」はメルキドに居て、「えーん。あてが まいごの キムこう だす。」と泣いているので迷子みたいです。
「キムこう」こと木村初さんはDQ2に登場した「かぜのマント」の名付け親としても有名。
出典:ドラゴンクエスト
「みやおう」(「ミヤ王」)は「ガライの町」に居て、「ゆうてい」と同じく「キムこう」を捜していますが理由は不明。
出典:ドラゴンクエスト
「キムこう」がカタカナ交じりの表記なのに対して、容量の都合(厳密にはファミコンの記憶領域の少なさ)で「ヤ」が使えないため「みやおう」はひらがな表記になっています。(「ミ」は使えるので一応「ミやおう」は可能)
ファミコン神拳の連載終了や、宮岡寛さんの独立もあってか残念ながらリメイク版では3人とも未登場ですが、こういう遊び心は既に初代「ドラゴンクエスト」からあったんですね。
ファミコン神拳は復刻版も出ているので、興味がある方はぜひ♪
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ドラゴンクエストII 悪霊の神々
DQ2の「キメラのつばさ」は「ルーラ」と同じ効果で、最後に「復活の呪文」を聞いた場所に戻れます。
道具屋では80Gと、前作より10G高くなりました。(リメイク版では25G)
出典:ドラゴンクエストII 悪霊の神々
本作の道具屋は定価の3/4(端数切り上げ)、つまり75%の高値で買い取ってくれるのを利用して序盤の換金アイテムとしてもキメラのつばさはとても有用です。(売却額60G)
「湖の洞窟」の奥の宝箱に1枚入っていますが、洞窟を出入りすれば何度でも復活する仕様な上に、そこで出現する「おおねずみ」が1/16(6.25%)というまあまあの確立で落としてくれるので序盤の金策にはオススメ。
出典:ドラゴンクエストII 悪霊の神々
ところで、「おおねずみ」の下位種である「やまねずみ」をご存知でしょうか。
出典:ドラゴンクエストII 悪霊の神々
この子はDQ2のみの登場なので、知らないもしくは記憶にないという方も多いのでは。
リメイク版では、通常モンスターで唯一「すばやさ」が7→8の1ポイントだけ上げられるという、謎で地味なエピソードがあります。
やまねずみ君から結構高難度なクイズを考えついたので、ご自由にお使いください。
キメラのつばさは「雷に打たれて死んだキメラから採れる羽を加工したもの」という設定ですが、DQ2に「キメラ」は登場しませんよね。
そんな都合よく雷で打たれるとは思えないので、あくまでそれは建前であり乱獲されて絶滅したのでしょうか。
ですが、それだと世界各地の道具屋で比較的安価に購入できるのはおかしいので、キメラの養殖場がどこかにあるのかもしれませんね。
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ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
DQ3の「キメラのつばさ」は「ルーラ」と同じ効果で、移動中だけではなく戦闘中にも使えるようになりました。
戦闘中に使うと確実に逃走可能なので、「にげる」コマンドを失敗できないときに使うと便利。(もちろん、ダンジョン内では効果はないので注意)
なお「アリアハン」まで飛んでしまうので、あくまで緊急避難用ですね。
出典:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
本作のルーラは「訪れたことのある候補地の中から一つを選んで移動する」という、以降の作品に引き継がれる効果が初めて付随されたので、同じ効果を持つキメラのつばさの性能も必然的にパワーアップしました。
厳密に言うと、オリジナル版では行き先のリストはキャラごとに管理されていて、「本人が訪れた場所でないと移動できない」というある意味リアルな仕様でしたが、リメイク版では後のシリーズ同様にPTの誰かが訪れた場所であれば、仲間の誰が使ってもその場所にいけるようになりました。
格段に性能が良くなったキメラのつばさですが、価格は25Gと安く、ルーラを覚えるまでは非常に頼りになるアイテムなんですね。
「勇者」レベル7、「魔法使い」と「賢者」がレベル12でルーラを覚えますが、勇者1人旅や脳筋PTではMP節約のため余裕を持って所持しておきたいところです。
一番の謎は「キメラ」が「下の世界」である「アレフガルド」にしか生息していな状況で、「上の世界」の道具屋がどうやってこのアイテムを仕入れているのかですよね。
出典:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
一応、上の世界では「じんめんちょう」「マタンゴ」「マージマタンゴ」「マリンスライム」「キラーエイプ」がキメラのつばさを落としますが、まさかこれらのモンスターを狩って集めているのでしょうか?
いや、そもそもなんで持っているのか謎。
もちろん、キメラご本人も落としますがドロップ率はマタンゴの1/32(3.1%)の方が高く、他はいずれも1/64(1.6%)なのもかなり謎なんです。
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ドラゴンクエストV 天空の花嫁
DQ5ではシリーズで初めて、「キメラのつばさ」の効果が「ルーラ」とは異なっていて、行き先指定タイプではなく「ルーラ登録可能な場所のうち最後に立ち寄った所へ飛ぶ」という効果で、若干異なりますがDQ2での効果に戻ったという訳です。(DQ2は「最後に復活の呪文を聞いた場所に飛ぶ」)
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
本作のルーラは従来通り行き先指定タイプですが、「失われた古代の呪文」という設定。
主人公は青年時代前半に「ルラフェン」にいる「ベネット」に「ルラムーンそう」を渡して初めて習得できる特別な高等呪文なので、キメラのつばさと同じ効果では立場がなくなる故の仕様変更でしょうね。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
設定の余波により性能にデバフを受けたかわいそうなキメラのつばさですが、青年時代前半のルーラ習得までは使用する機会も多く、頼りになるアイテムなのは間違いありません。
また、本作のルーラは戦闘中に使えませんが、キメラのつばさは戦闘中でも使用可能という地味すぎる優位性があります。(そもそも効果が違うので比べるのはあれですが)
しかし、その地味な優位性もリメイク版ではなぜかなくなりました。(厳密には使えるけど効果がなくなった)
出典:「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」 「サムライ8 八丸伝」
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ドラゴンクエストVI 幻の大地
DQ6の「キメラのつばさ」は「ルーラ」と同じ効果で、現在いる世界で訪れたことのある候補地の一つに移動できます。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地
本作ではルーラの消費MPが1へと激減し、主人公が最序盤のレベル8で自力習得してしまうため、キメラのつばさの影はダークドレアム(Dark Dream)の如く、暗く薄くなってしまいました。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 下巻(知識編) P6
強いて言うならルーラを覚えるまでの序盤、「精霊の冠」を買って「ライフコッド」へ帰還、「試練の塔」から「レイドック」へ帰るときくらいでしょうか。
私はドラクエ6に関しては「キメラのつばさ」を使った記憶が一切ありません。(↑の撮影時が初めてだと思います)
みなさんは使ったことがありますか?
因みにリメイク版では「グランマーズ」にルーラを強化してもらうと、行き先に「べっせかいへ」が追加され、もうひとつの世界の「ダーマ神殿」へ飛べるようになりますが、キメラのつばさでも同じく「べっせかい」が追加されます。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地
よくよく考えると不思議ですが、使用者の魔力に依存しているのでしょうか。
まあ、メタ的に言ってしまえばキメラのつばさとルーラはプログラム上同じ処理がされているからだと思われます。
なお、本作には「キメイラ」はいても「キメラ」はいません。
キメイラとはDQ6のみに登場するモンスターで、鳥とヘビが合わさった見た目は同じですが、キメラがハゲワシ風の頭に対してこちらはニワトリ風の頭です。
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 下巻(知識編) P166
天空シリーズの時系列は「6→4→5」なので、5に登場するキメラの祖先なんでしょうか。
いや、それじゃあ「キメラのつばさ」という名称もおかしいし、キメイラが落とすアイテムが「キメラのつばさ」なのも謎です。
DQ5の「デモンズタワー」に「キメーラLv35」というボスが登場しますが関係性は不明。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
SFC版のグラフィックは「メイジキメラ」と同一でしたが、リメイク版では専用カラーのグラフィックが用意された上に、DQ6のキメイラと同じく頭にトサカが付いたので何かしら関係はあるっぽい。
出典:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
\バーバラのイラストが最高なんです/
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ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
DQ8の「キメラのつばさ」は「ルーラ」と同じ効果で、訪れたことのある候補地のひとつに移動できます。
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
ダンジョンや建物内など飛び立つことのできない場所で「ルーラ」や「キメラのつばさ」を使うと、実際にキャラが飛び立って頭をぶつけるアニメーションの後、「◯◯◯は てんじょうに あたまをぶつけた!」という、ドラクエではお馴染みでありお約束のメッセージが本作でも見れますが、
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
キャラクターがフルポリゴンになったことで、頭をぶつけ痛がる様子もかなり細かく描写されるようになりました。(痛そう)
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
「ゼシカ」はしりもちをつくのを利用し、「おどりこの服」や「まほうのビキニ」などの所謂「セクハラ装備」状態で、わざと天井にぶつけ眺めを楽しむ非道な者が続出。
おどりこの服
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
まほうのビキニ
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
ゼシカの普段着
個人的に一番好き。
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
名家のお嬢様「ゼシカ」についてはこちらの記事にて本気で書いていますので、ぜひご覧ください。
これで終わろうと思いましたが、ほとんどキメラのつばさの話題がでてこなかったので小ネタをひとつ。
「討伐モンスターリスト」で見れる「キメラ」のまめちしき欄には、「キメラのつばさは キメラの羽根から取れるのだ。」とあります。
出典:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
複数の羽が寄り集まったものが「翼(つばさ)」なので、鳥類の羽から抜け落ちた一本一本を指す「羽根」から「翼(つばさ)」が取れるという言い回しは不自然。
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まとめ
最後に、「キメラのつばさ」についてまとめて終わります。
- 「キメラのつばさ」とは初代「ドラゴンクエスト」に初登場以来、ナンバリング全作品皆勤を果たしているレジェンドアイテム
- 初代DQ・効果は「ルーラ」と同じで、使用すると「ラダトームの城」のすぐ前に移動する
- DQ2・効果は「ルーラ」と同じで、最後に「復活の呪文」を聞いた場所に戻れる
- DQ3・効果は「ルーラ」と同じで、移動中だけではなく戦闘中にも使えるようになった
- DQ3・本作の「ルーラ」は「訪れたことのある候補地の中から一つを選んで移動する」という、以降の作品に引き継がれる効果が初めて付随されたので、同じ効果を持つ「キメラのつばさ」の性能も必然的にパワーアップした
- DQ3・「キメラ」が「下の世界」である「アレフガルド」にしか生息していない状況で、「上の世界」の道具屋がどうやって仕入れているのか謎
- DQ5・シリーズで初めて「キメラのつばさ」の効果が「ルーラ」とは異なっていて、行き先指定タイプではなく「ルーラ登録可能な場所のうち最後に立ち寄った所へ飛ぶ」という効果(若干異なるがDQ2における「最後に復活の呪文を聞いた場所に飛ぶ」という効果に戻った)
- DQ5・「キメラのつばさ」の効果が「ルーラ」と異なるのは、「失われた呪文」という設定が「ルーラ」にあるからだと思われる
- DQ5・「ルーラ」は戦闘中に使えないが、「キメラのつばさ」は使用可能という地味すぎる優位性がある(リメイク版では使えるけど効果がなくなった)
- DQ6・効果は「ルーラ」と同じで、現在いる世界で訪れたことのある候補地のひとつに移動できる
- DQ6・「ルーラ」の消費MPが1へと激減し、主人公が最序盤のレベル8で自力習得するため、「キメラのつばさ」の影はダークドレアム(Dark Dream)の如く薄くなった
- DQ6・本作には「キメイラ」はいても「キメラ」は存在しない
- DQ8・効果は「ルーラ」と同じで、訪れたことのある候補地の中から一つを選んで移動できる
- DQ8・「討伐モンスターリスト」で見れる「キメラ」のまめちしき欄の言い回しは不自然
出典:ドラゴンクエストVI 幻の大地 公式ガイドブック 下巻(知識編) P135
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