ドラクエ作品

【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part2】

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タカリ

こんにちは、タカリです♪

今回はドラゴンクエストシリーズに登場する「ラストボス」、通称「ラスボス」の前口上について本気で研究する記事の【Par2】です。

「【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part1】」はこちらです。

【Part1】と言っても記事単独で完結しているので、今回の【Part2】の記事だけでも問題なく楽しんで頂けると思いますが、よかったら是非読んでみてください♪

前口上とは「実演・実技などの始まる前に述べる口上。また、本題に入る前に述べる言葉。」

要は前置きの言葉の事ですね。

前回の【Part1】ではTVアニメ「ONE PIECE」の前口上を例えに出しましたが、今回は2003年2/2~2004年1/25までテレビ朝日系列で毎週日曜8:30~9:00に全50話放送されたTVアニメ「明日のナージャ」の前口上をご紹介します。

むか~しむかし、100年ぐらい昔。

これは、運命の扉の向こう側を旅した、女の子の物語。

作品の世界に入り込む手助けとして非常に重要な前口上としては短いですが、「明日のナージャ」のテーマやメッセージがパッと伝わってくる秀逸な前口上だと思います。

前番組「おジャ魔女どれみシリーズ」、後番組が「プリキュアシリーズ」なのでどうしても影は薄くなってしまう「明日のナージャ」ですが、未だにコアなファンも多い神アニメなんです。

↓は「明日のナージャ」放送開始21周年のお祝いポストです。

「時をかける少女」、「サマーウォーズ」などでも知られる細田守監督が演出と絵コンテを担当された凄まじいハイクオリティOPも載せているので是非ご覧ください。(もちろん、ご紹介した前口上も聞けます)

すみません、少し脱線しました。

今回の「【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part2】」では前回の【Part1】同様に、

勇者一行との最終決戦前に発するラスボスたちの言葉、つまり前口上からは自らの主義主張や美学などを推し量ることができ、勇者とはまた違った”正義”も在ると気づくはず…。

このテーマと観点からDQ6「デスタムーア」、DQ7「オルゴ・デミーラ」、DQ8「暗黒神ラプソーン」の前口上について本気で研究していきます。

それではどうぞ♪

【デスタムーア】わしが 全世界の主となる存在 デスタムーアさまじゃ!【DQ6】

この章では「ドラゴンクエストVI 幻の大地」のラスボスである「デスタムーア」の前口上を研究していきます。

その前にざっくりとデスタムーアをご紹介しますね。

結論から言えば、デスタムーアは影は薄いけど非常に有能な大魔王です。

世界征服を企てた際にまず、自分にとって脅威となり得る「ダーマ神殿」「メダル王の城」「カルベローナ」を現実の世界(下の世界)で滅ぼします。

しかし、それらの施設が人々の夢の中で消えずに存在していることに気づいたデスタムーアは自身の巨大な魔力で夢の世界(上の世界)として具現化し、現実の世界(下の世界)で滅ぼした3つの施設に加えて夢の世界を束ねる「ゼニスの城」の封印にも成功。

そして、その封印を直属の部下である4人の魔王「ムドー」(ダーマ神殿)、「ジャミラス」(メダル王の城)、「グラコス」(カルベローナ)、「デュラン」(ゼニスの城)に守らせていて、実はDQ6物語開始時点でほとんど征服は完了しているんです。

デスタムーアはムドーの存在感等により影が薄いですし、かの有名な裏ボス「ダークドレアム」によるフルボッコ事件をひたすらネタにされ続けていますが、表向きはムドーに征服をさせつつ自らは夢の世界と現実の世界の間に「はざまの世界」という第3の世界を創り出し着々と世界征服を進めていった歴代ドラクエシリーズでも屈指の有能な大魔王なんですね。

本来、夢の世界は実体としては存在せず現実の世界と互いに行き来できるものではないので、主人公一行が2つの世界を股にかけて冒険できるのは皮肉にもデスタムーアのお陰ですし、夢の世界に行かなければDQの女性キャラの中でも絶大な人気を誇り、夢の世界の住人である「バーバラ」にも会えなかったのでDQファンから感謝されるほどです。

おそらくですが、え?バーバラって夢の世界の住人だったの?と混乱した方も少なくないと思います。

でも、安心してください、バーバラについては「【ドラクエ6】魔法都市カルベローナを本気で研究しました。」の記事で詳しく書いています。

この記事を読めば他のバーバラ好きと差をつけれること間違いありません。

それではデスタムーアの前口上をご紹介します。

*「フォッ フォッ フォッ。
  だまって あそばせておれば
  いい気に なりおって…。
*「そろそろ わしのほうから
  お前たちを つぶしにいこうかと
  思っておったところじゃ。

*「それを お前たちのほうから
  のこのこ やってくるとは

  どこまでも おめでたいヤツらよ。
*「もはや 名のるまで
ないだろう。
  
わしが 全世界の主となる存在
  
デスタムーアさまじゃ!
ムーア「さあ こい! 虫けらども!
ムーア「お前たちが どれほど非力で
   不完全なものなのかを イヤ
   というほど 思い知らせてやろうぞ!
ムーア「このデスタムーアこそが
   生きとし生ける者どもの
   王たる存在だと いうことをなっ!

↑はSFC版ですが、「もはや 名のるまで ないだろう。」の言い回しは違和感を覚えませんか?

文脈からセリフの意味を推し量ることは容易ですし、破綻している訳ではないですが「もはや 名のるまで ないだろう。」のテキストミス??と悶々とした日々を過ごしていましたが、

リメイク版ではしれっと「もはや 名のるまで ないだろう。」に修正されていたので、普通にミスだった可能性が高いです。

自分で「デスタムーアさまじゃ!」と言うのもやや小物感が出てなんか可愛いですね。

ところで、結びの「このデスタムーアこそが 生きとし生ける者どもの 王たる存在だと いうことをなっ!」「っ」、つまり促音に注目してみてください。

みなさんはこの「っ」の凄さに気づきましたか?

例えば「ありがとう」に促音を入れると「ありがとうっ」になります。

「ごめんね」なら「ごめんねっ」ですね。

どうですか、かなり柔らかい雰囲気を纏いますよね。

意中の人からこんな文章体をラインで送られてきたら、その想いはつぶさな恋へと昇華すること必至だと思いますが、緊迫した最終決戦前のセリフに促音を使うと大概雰囲気が壊れるので普通は怖くて入れることはできません。

しかし、そこはドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二さんの“堀井節”が炸裂し、あえて「っ」を入れることで張り詰めた緊張に緩和を宿らせると同時にデスタムーアのキャラも立たせることに成功しています。

流石、有智高才を体現し続ける堀井雄二さんだと改めて強く実感できる前口上だと思いました。

【オルゴ・デミーラ】わが名は オルゴ・デミーラ。万物の王にして 天地をたばねる者【DQ7】

この章では「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」のラスボスである「オルゴ・デミーラ」の前口上を研究していきます。

その前にざっくりとDQ7とオルゴ・デミーラをご紹介しますね。

オルゴ・デミーラはDQシリーズでも世界征服に最も近づいた大魔王としても有名ですね。

彼の世界征服のスタイルは「様々な災いの種をまき、人間たちが絶望したところを一気に闇に引きずり込む」というシリーズ屈指の陰湿さとえげつなさを誇り、特に人間の闇の部分を利用する手腕に長けているのが最大の特徴です。

そのおかげでプレイヤーは何度も鬱になる後味の悪いエピソードを体験、経験するので、DQ7=鬱ゲーというイメージが定着しました。

故にDQ7はシリーズでも特に賛否両論が激しいのですが、鬱々としながらも様々な人物にスポットが当てられた数多のシナリオには珠玉な短編集を読んでいるが如くの深い感動を覚え、神キャッチコピー「ひとは、誰かになれる。」を絶妙に体現した名作なんです。

それではオルゴ・デミーラの前口上をご紹介します。

われは 魔族の王にして
絶対無比の存在なりき…。
万物の長たるは われ以外には なし。
神に作られし デクにんぎょうどもよ
かつて お前たちが 神とあがめし者は
われが 永劫の闇に 葬り去った。
おろかなる者よ そなたらに
われを あがめるほか
生きる道は ないのだ。
わが名は オルゴ・デミーラ。
万物の王にして 天地をたばねる者
さあ 来るよがよい。
わが名を そなたらの むくろに
永遠に きざみこんでやろう。

DQシリーズの歴代魔王は肩書(自称)を前口上でお披露目することが若干お決まりっぽくなっていますが、オルゴ・デミーラは「万物の王にして天地をたばねる者」みたいです。

「森羅万象」ではなく「万物」なのが堀井雄二さんらしい言い回しだなと個人的に思いました。

絶対無比の存在

万物の長たるは 我以外には無し。

神に作られし デク人形どもよ

人間の闇と感情を振り回して利用したり、神を気取って人間をデク人形扱いする様は七つの大罪のひとつである「傲慢」がぴったりですよね。

因みに「オルゴ」はラテン語で「傲慢」を意味するため、七つの大罪で「傲慢」を司り、同じくラテン語を名の起源としている堕天使「ルシファー」がオルゴ・デミーラの元ネタだという説もあります。

わが名を そなたらの むくろに 永遠に きざみこんでやろう。

このセリフからは主人公達をただのしかばねにするのは当たり前で、それは想像すら絶する責め苦の果てということが犇々と伝わってきますね。

大魔王オルゴ・デミーラの前口上を総括すると、彼の世界征服のスタイル「様々な災いの種をまき、人間たちが絶望したところを一気に闇に引きずり込む」という陰湿さとえげつなさ、傲慢を言葉の端々から放ち、これから降りかかってくる厄災と事象の滅びを予感させる禍々しくも非常に秀逸な言い回しだと思います。

【暗黒神ラプソーン】死してなお消えぬほどの 永遠の恐怖を その魂に 焼きつけてくれるわっ!!【DQ8】

この章では「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」のラスボスである「暗黒神ラプソーン」の前口上を研究していきます。

その前に少しだけラプソーンをご紹介しますね。

ラプソーンは闇を司る邪神で、「光の世界」(主人公側の世界)と自身が座する「闇の世界」の2つの世界をひとつにして混沌の世界を生み出し、文字通り「新世界の神」になろうとしました。

↓イメージ画像

遥か昔に配下の魔物を連れて光の世界に侵攻し、世界を守るため立ち向かってきた「竜神族」を返り討ちにするも、その後「七賢者」と神鳥「レティス」に撃退されラプソーンの魂は「神鳥の杖」に、肉体は「聖地ゴルド」の巨岩に封印される形で敗北しました。

ちょっと固有名詞が多くて混乱すると思うので一つひとつざっくりと解説しますね。

難しく考える必要は一切ありません、主人公たちが住んでいる世界です。

物語終盤に行くことになる世界。

光の世界から色が無くなったような世界で、地形の構造などは光の世界と全く一緒です。

目が疲れないとプレイヤーからの評判も上々。

人と竜のふたつの姿を持つ種族です。

種族名からも分かるようにドラゴンに変身できます。

男性は神主、女性は巫女のような服装をしていて、ドラゴンの側頭部にあるヒレのような形の耳が特徴的ですね。

かつて、竜神族は闇の世界から光の世界に侵攻してきたラプソーンから世界を守るため戦い、敗れました。

DQ8のラストダンジョン「暗黒魔城都市」の本棚にはその戦いの記録が残されていますが、この書きぶりからするとかなり善戦したみたいです。

かつて、神鳥レティスと共にラプソーンを封印した7人の賢者たちを指します。

因みに、七賢者のひとりで魔法剣士兼彫刻家「シャマル・クランバートル」の子孫がパーティの一員「ゼシカ・アルバート」です。(分かりづらいですが、↑で青く光っているのがシャマル)

ゼシカについてはこちらの記事で研究していますのでよかったら是非。

レティスは七賢者と共にラプソーンを封印しましたが、その際に力を使い果たして闇の世界に取り残されてしまいました。

EDにて旅立つ直前に「生まれた世界ではラーミアと呼ばれていた」という発言を残し、DQ3とDQ8の繋がりを強く匂わせていますが、公式からDQ3のラーミアと同個体とは明言されていません。

今のところラーミアの生まれた世界といえばDQ3しかないので、やはり「あの世界」とはDQ3の世界でしょうか。

その一方で小説「ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説」の世界観と設定から引用すれば、ラーミアは複数の個体が存在しているはずなので、DQ3のラーミアとは完全に別個体ということも考えられます。

みなさんはどう思いますか?

ラプソーンの魂を封じ込めている杖で、手に取った者に対して、怒り・憎しみ・怨みと言った負の感情を増大させ、その心の闇につけ込み、身と心を完全に乗っ取り自らの手足のごとく動かす凶悪な力を持っています。

元々は「トロデーン城」の結界を描いた部屋に封じられていましたが、忍び込んだ「ドルマゲス」が奪い手に取ったのでラプソーンにより操られ、師匠でもあった「マスター・ライラス」、ゼシカの兄「サーベルト」、「マイエラ修道院」の院長「オディロ」、そして「ベルガラック」のカジノオーナー「ギャリング」と4人もの命を取りながら世界各地を放浪します。

物語終盤、ドルマゲス撃破後にうっかり神鳥の杖を握ってしまい操られた「呪われしゼシカ」はインパクトが強かったですね。

聖地ゴルドは「マイエラ修道院」「サヴェッラ大聖堂」と並び「世界三大聖地」のひとつと位置付けられる神聖な場所です。

かつて「七賢者」と「レティス」がラプソーンの肉体を巨岩に封じ込め、その岩を七賢者のひとり「シャマル」が巨大な女神像へと加工しました。

ただの巨岩のままでは開発・破壊されてしまう恐れがあるので、女神像へと加工し人々が触れないようにしたんです。

↓がその女神像。

しかし、物語終盤にラプソーンに意思を完全に乗っ取られた「マルチェロ」が封印を解いてしまい、女神像が破壊されてラプソーンは完全復活してしまいます。

「暗黒神ラプソーン」の前口上をご紹介します。

まず、ラストダンジョン「暗黒魔城都市」で戦う第一形態、通称「プチソーン」の前口上。

*「待ちかねたぞ。
  幾度となく 我が行く手を
  さえぎろうとした 愚かなる者たちよ。
*「我こそは 暗黒神ラプソーン。
  この身を取り戻すために 思えば
  ずいぶん 長い旅をしたものだ。

ラプソーン「旅の途中 お互い 幾度もの
   悲しみを味わったな。だが 人間よ。
   今は ともに喜び合おうではないか。
ラプソーン「この光の世界と 闇の世界は
   たった今より ひとつの世界となり
   新たなる神を 迎えるのだ。
ラプソーン「新たなる神の名は
   暗黒神ラプソーン!
ラプソーン「さあ 我をあがめよ!!
   身を引き裂くような 激しい悲しみを
   我に 捧げるがいい!!

気が遠くなるほどの万劫末代の果てにようやく復活できたのでとても嬉しそう。

一部分を切り取れば長い旅路を共にした仲間との会話にも聞こえてちょっと面白い。

盆提灯のような可愛いボディと如何にも性格が悪そうなのにどこか愛嬌感じるデザインは流石、鳥山明先生ですよね。

DQシリーズ経験者ならまず間違いなく真の姿ではないことを察したと思いますが、盆提灯を撃破すると、(断末魔もかわいい)

暗黒魔城都市の力を取り込み完全体の巨漢へと変貌します。

「アントリア」と「ヘルバトラー」を足して2で割ったような姿で、

その巨体は「ブオーン」を彷彿とさせます。

それでは完全体ラプソーンの前口上をご紹介します。

うおおおぉぉぉっ!!!
おのれぇぇぇ…!!
どこまでも 目ざわりな
虫ケラどもがぁぁっ!!
わが闇の結界を 払いのけたことを
地獄の底で 後悔するがいい!!
この肉体の真のチカラを 見せてやろう!
死してなお消えぬほどの 永遠の恐怖を
その魂に 焼きつけてくれるわっ!!

厳密に言うと、ラプソーンは周囲に闇の結界を纏っていて無敵なので「七賢者」の力を借り、結界を破った後のセリフとなります。

この件はDQ3のゾーマ戦を思い出しますね。

完全体ラプソーンの前口上は自身の結界を破られブチ切れているのもありますが、非常に感情的なセリフになっていて第一形態との巧い対比になっています。

死してなお消えぬほどの 永遠の恐怖を そのに 焼きつけてくれるわっ!!

この最後の結びに注目してみてください。

要は死んでも消えないくらいの恐怖を魂に刻みこまれるらしいのですが、なぜ物理的な身体ではなく抽象的な「魂」になんでしょうか。

DQ7のラスボス「オルゴ・デミーラ」の結びはラプソーンとニュアンスが似ていますが、わが名を そなたらの むくろに 永遠に きざみこんでやろう。と、骸(物理)です。

これはおそらくですが、章の冒頭でもご紹介した通りラプソーンは「七賢者」と神鳥「レティス」に撃退された後に魂を「神鳥の杖」に万劫の間封印されていました。

故に意識的かつ無意識的に「魂」という抽象的な存在に最も恐れを抱いていて、その自身の最上級の恐怖を主人公たちに与えるという解に至ったのだと考えています。

どうですか、何気なく聞いていた前口上でも言葉の一つひとつを丁寧に紐解いて往けば数多の選択肢が生まれ、ドラゴンクエストの楽しみの幅が無限に広がりますよね。

タカリ

【ドラクエ】ラスボスの前口上を本気で研究しました。【Part2】の研究記事はどうでしたか?

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最後まで記事を読んで頂きありがとうございました♪